真ん中へんの大入道

四日市以外の中部地方での大入道情報。

夜の暗い石段

東京都での目撃談

今では大入道が生活するには苦労しそうな東京ですが、昭和初期にはそれらしい 妖怪の噂がたまに聞かれたようです。 赤羽駅から歩いて行ける距離にある八幡神社踏切でのことですが、ここで昭和12年 に赤紙を届けに通った人が大入道に襲われました。 この妖怪は大入道のユニフォームを着てはいなかったようで、僧侶の姿ではなく 軍服の兵隊さんだったとのことですが、背が高かったので問題ないでしょう。 戦時中に僧侶がどれだけの遭遇率だったのかは知りませんが、兵士の方がきっと 珍しくはなかったでしょうしこの時代はそれでも通用したのです。 しかしこのケースでは生まれつきの大入道ではなく、不運な死を遂げた兵士の霊が 大入道のようになって顕現したのでは、と言われています。 親が大入道だから自分も大入道やってます、というのが三重県四日市の こにゅうどうくんですが、この東京で目撃された大きな妖怪は血筋とか家系は 妖怪とは無縁でもともと人間だった、亡霊が大入道のような存在に昇華した少し 特殊な事例とされております。 襲われた者はその時には命を取り留めましたが、数日後に同じ場所で不思議な 形で命を落としたので気の毒です。 襲われてからの事後の話は普通の妖怪でもよくあるパターンですが、これは悪霊 に遭遇した者でも起こりそうなことですね。

富山県での目撃談

富山県の温泉の中でも鐘釣温泉は有名な部類に入りますが、実はここでも大入道が 団体でお越しになられたという話が残されています。 彼らが温泉目当てにやってきたのか、それとも人間を驚かせようとしたのか、 はたまた道に迷っているところに出くわしたのかは定かではありませんが、 単独ではなく16人もいたのでちょっと珍しい事例です。 ひとりでもその巨大な姿は圧巻ですが、そんなのが16人もいたら普通の人なら 腰を抜かしてしまうでしょう。 しかもこの鐘釣温泉で目撃された大入道は16メートル近くもあったとのこと なので、そんな団体がやってきたら目の前に林か森でも出現したように感じて しまいそうになりますが、木ではなく人の姿なので不気味です。 もしも彼らが温泉目当てなら全員が湯浴みをできるのか、順番にローテーションで 入浴するのか、といった疑問も沸いてきますが、きっと怪力の持ち主でしょうし 腕力にものをいわせて浴槽を広げるべく地面を深く掘って解決するのでしょう。 この富山県での目撃談ではただ人間を驚かせただけで、危害を加えたり後遺症が 残ったと言う話はありません。 なので湯煙に映った自分達の影が正体かもしれない説もあります。 光の加減で湯気に映った人影が、大きくみえたので「うは、大入道現る!」 と勘違いしてしまっただけの話かもしれないのですね。

愛知県での目撃談

愛知県は大入道のからくり人形を使った四日市祭が行われる三重県のお隣に所在 しますので、もちろんこの妖怪の目撃談のひとつやふたつくらいあります。 ちなみに方角的には四日市の東側に愛知県があり、今なら電車に乗れば一時間も しないで悠々と往復できる距離です。 愛知県での目撃情報ですがけっこう昔からあったようで、江戸時代にはすでに 大入道がたまに人前に姿を出していたようです。 三河地方から名古屋市方面に向かっていたら遭遇した、という話もありますが、 その記録によれば身長は4メートルほどとのことなので人間を見間違えた可能性 は低いですし、他の妖怪にしては大きすぎるので大入道と認定してもいいでしょう。 目撃者は商人で、仕事で名古屋へ行く途中の出来事だったそうです。 4メートルが大きいのか小さいのか、人間ならば大きすぎますが大入道にしては 小柄なほうだという意見もあるので難しいところですが、各地の証言から総合的に 判断すると決して大きくはなくむしろ小さい方かもしれません。 それでも人を驚かすには充分なインパクトでしょうし、戦闘になったら勝てる 見込みはありませんので逃げたくなるでしょう。 身長が2倍なのでパンチ力も2倍、スピードは2倍かわかりませんがかけっこで 競争したら簡単に追いつかれそうな気がします。 この時の発見者は無事だったようなので、きっと穏やかな性格の個体に遭遇したの でしょうね。