大入道

三重県四日市と大入道の関係とは。

蠟燭と線香

巨大な僧侶

この妖怪がどれだけのサイズなのか、大きいという表現だけではいまいち伝わりません ので詳しく知りたくなりますが、伝承によって身長には違いがあるようです。 小さな大入道は2メートルからいるそうですし、巨大なものになると山のような サイズの個体も過去には存在したとのことです。 基本は人間、僧侶の姿をしておりただ大きいということを除けば見た目は人間に 近いので、目撃談の中には背の高い僧侶が正体だったのでは、と思われるのも いくつかあるのかもしれませんがそれを追求するのは野暮でしょう。 三重県の四日市ではこの妖怪にちなんだお祭りが毎年開催されていますし、かなり 昔から人間にその存在を知られていたことが伺えます。 僧の姿をしているバージョンが最多ですが中にははっきりと確認できない大きな 人影のような目撃談もあり、とにかく巨大で正体不明な妖怪なら大入道にカウント していたのでは、とも思われますが、実はなにものかが化けていた、なんていう エピソードもちらほらとあるようです。 大入道という妖怪ではなく、長生きをした動物が変化の術を使って大きな人間に 化けていたのがその正体だ、と見破った話もありますし、数ある目撃情報の中から 本当の大入道を発見するのは簡単ではないのかもしれません。 この妖怪に出会ったものは病気になるという話もありますが、ただ脅かされた だけで済んだ、という人もいるので、もしかしたらそこに真の姿を見破る手がかり があるのかもしれませんね。

四日市祭と大入道

三重県の四日市では毎年10月の秋空の下、四日市祭という大入道を取り入れた お祭が涼しい気候の中で行われています。 約4メートル、からくり仕掛けの首はなんと2メートル20センチとなかなか 立派なサイズの大入道の人形を山車に乗せており、その姿は犬が見たらキャンキャン 吠えかかりそうなほどのものでしょう。 首が伸びたり縮んだりしますし、舌が出たりと凝った造りになっており地元では このシーズンは大入道人形の話題でもちきりになります。 四日市だけではなくお祭マニアの間でもちょっとした有名人で、お土産用の小さな 人形も三重県へやってきた観光客には人気があります。 さすがに原寸大の大入道を販売してもほとんど売れないでしょうし、職場の方に お土産に買っていこうとするのに丁度いいサイズに縮小されています。 なにせ4メートルもあるのですから、地元民でもお持ち帰りで購入するのは よほどの妖怪マニアに限られそうなので商品化しても採算がとれなさそうです。 なので今のようなコンパクトな大入道人形でよろしいのでしょう。 またこの巨大なからくり人形の息子が四日市のゆるキャラにもなっています。 名前はこにゅうどうくんといい、父親よりも小さいのかなと思える名前ですが まだ子供なのですから身長では負けてしまうのでしょう。 きっと大人になれば見上げるほどのサイズに成長するでしょうから期待してその 日が来るのを待ちましょう。

大入道山車の由来

ではこの大入道、三重県や四日市とはどのような関係があって町おこしの マスコットとして担がれることになった巨大妖怪なのでしょうか。 諏訪神社で行われる四日市祭ですが、この神社の氏子町には桶之町というユーモア の才能に溢れた人達が集う町がありました。 ある時誰かが桶之町の「桶」を「大化」とし、化物だらけの仮装行列をしようぜ、 と言い出したのでしょう、これを神社に奉納したのが大入道山車の始まりだと されています、今からおよそ200年昔の話です。 けっこう軽いノリで始まったような気がしないでもありませんし、仮装行列が原型 でありますからハロウィンに近いのかもしれませんね。 もしもからくり人形を製作した人が、大入道ではなく一反もめんを好む清潔な人 だったのならこのお祭の主役は一反もめんになっていたのかもしれません。 大きな布が材料のベースなのでコストも大入道の半分以下で済ませられますし、 軽量なので今よりもずっと扱いやすいからくり人形になったであろうと考えると、 タイムマシンに乗って過去へ行き「大きいのはいいよ、お祭の目玉だし未来の 三重県人も喜ぶからさ。でも大入道は製作も大変でしょ、一反もめんにしなよ。 え、私?妖怪じゃないって、ただの通りすがりの未来人さ」とアドバイスをして あげたくなりますが、それをやってしまうと全国各地にいらっしゃる大入道ファン から責められてしまいそうですし、やめたほうが無難でしょうね。